ああアシスタント(その1)

    十数年前、僕は名古屋の三流芸大を卒業させられました。

    単位をわざと一つ落として留年する気だったのに、春休みの朝早く、寝ているところへ大学から電話があり、単位やるから追試を受けて卒業しろとの事。

    寝ぼけていたのでついわかりましたと返事をしてしまい、就職もきまってないのに卒業させられてしまったんです・・・(自業自得ですが)
    僕は途方に暮れました・・・

    そこに同科生で卒業後東京に漫画家のアシスタントをしに行った友人(島本かおる先生)から一緒にやらないかと声かけてもらい、勢いで上京。

    すぐアシスタントできると思っていたのだけれど、そんなに甘いはずもなく、家賃29000円風呂なしのぼろアパートに住み、コンビニでアルバイトしながら漫画を描く日々。結局そんな生活が4年近く続きました。

    で、このままではいけないと描いた原稿もって少年C誌へ持ち込み。

    ‘まあ絵はそこそこ描けてるから、アシスタントやって腕磨きなさい’
    と言っていただき紹介された先生の所へ行くことに。

    途中一緒に行ってくれた編集の人から‘修行だと思って’とか‘丁稚奉公のつもりで’
    とか色々言われ少し不安になるも、初めて編集の人や漫画家さんに接する興奮と緊張で、なんでもやる気になっていた。

    思えばあそこで冷静になっていれば・・・

    紹介していただいた先生は正直よく知らなかった。古くからやってらっしゃるベテランで、絵は少し古めだけど、技術はしっかりしているので勉強にはなりそうだった。

    しかし初対面の印象は・・・‘怖い!’だった。およそ漫画家として想像する風貌からかけ離れており、どちらかというと○○〇関係じゃないの?と言った感じの方。

    そしてその印象はあながち間違っていないのでありました・・・



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