デビュー篇1

    最初載った雑誌は今は亡きホットミルクだった。

    初めて自分が描いた作品が印刷され世に出る感動というのは想像以上で

    嬉しくて何軒も本屋を梯子して雑誌を買ってしまった。

    アンケートも自分のところに印をつけて出そうと思ったけれど

    筆跡や消印でばれると思って怖くなって止めた。(でも一通は送ったように思う・・・)



    それでもアンケートの結果は思ったより良くて、次号では‘期待の新人’

    なんて表紙に大きく名前が出たりして有頂天。

    頑張るぞーと気合をみなぎらせていたけどそう甘くはなかった・・・

    ネーム(セリフなんかを簡単に描いたラフ)を送ってもなしのつぶて。

    連絡はまったくない。

    今思えば美少女誌の編集部にそんなに人が多いはずもなく

    一人で二誌を抱えてるなんてこともある業界なのだ。

    新人なんかにかまってるひまがあるはずない。自分からどんどん

    連絡を取って話をするガッツが必要だったのだ・・・



    少年誌でアシスタントしていた僕にとって編集の人というのは

    どんどん連絡をしてきて漫画の内容を詰めていくものだと思っていたので

    これは切られたなと思い込んで自分から去ってしまった。

    そしてしばらくはまたアルバイト生活に戻っていたのだけれど、

    金銭的な理由と島本先生の勧めでまた持込をすることに決めたのだった。



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